ドラッグストアで風邪薬を選ぶとき、「とりあえず総合感冒薬を買っておけば安心」と考えていませんか。
結論からお伝えすると、**風邪薬は「とりあえず総合感冒薬」ではなく、今つらい症状(発熱・鼻水・喉・咳)に合わせて成分を選ぶのが基本です。**特に子どもの咳止めを選ぶときは、コデイン類という成分が12歳未満で使用禁忌になっている点に注意が必要です。
この記事では、症状別の成分の選び方と、注意しておきたい安全性情報を整理します。
1. なぜ「症状に合わせて選ぶ」のが大切なのか
総合感冒薬は、発熱・鼻水・喉の痛み・咳など幅広い症状をまとめてカバーできる薬です。一方で、その分、今の自分には不要な成分まで摂ることになります。
症状ごとに主な有効成分は異なります。今つらい症状にピンポイントで効く成分を選ぶほうが、不要な成分による副作用のリスクを抑えつつ、効果的に対処できる場合があります(出典:一般社団法人愛知県薬剤師会「かぜ薬の成分と選び方・服用法について」)。
2. 【比較表】症状別・主な有効成分
症状別に、主な有効成分と特徴を整理しました。
| 症状 | 主な有効成分 | 特徴 |
|---|---|---|
| 発熱・喉の痛み | アセトアミノフェン、イブプロフェン等の解熱鎮痛成分 | 熱を下げ、喉・筋肉・関節の痛みをやわらげる |
| 鼻水・くしゃみ | クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン等の抗ヒスタミン成分 | 鼻水・くしゃみをやわらげる。第一世代は眠気が出やすい(詳しくは後述) |
| 喉の炎症 | トラネキサム酸等 | 炎症をおさえ、喉の痛みをしずめる |
| 咳 | デキストロメトルファン(非麻薬性)、コデイン類(麻薬性)等 | せき中枢にはたらき、せきをしずめる。コデイン類については次章で詳述 |
| 痰 | ブロムヘキシン塩酸塩等の去痰成分 | 痰の切れをよくし、排出を助ける |
(出典:一般社団法人愛知県薬剤師会「かぜ薬の成分と選び方・服用法について」)
熱や喉の痛みがなく、咳と鼻水くらいのときは、必ずしも総合感冒薬でなくても、該当する成分が配合された薬で十分な場合があります。複数の症状が重なっている場合は、総合感冒薬が有効です。
3. 【要注意】子どもの咳止め、コデイン類は12歳未満禁忌
咳止め成分の中でも、特に注意が必要なのが「コデインリン酸塩」「ジヒドロコデインリン酸塩」といったコデイン類です。
2019年(令和元年)、コデインリン酸塩・ジヒドロコデインリン酸塩を含む製剤は、「12歳未満の小児には投与しないこと」として、使用上の注意が禁忌に格上げされました(出典:PMDA「コデインリン酸塩等の12歳未満の小児における使用の禁忌移行について」令和元年度第4回安全対策調査会資料)。実際の添付文書にも「禁忌(次の患者には投与しないこと)重篤な呼吸抑制のある患者、12歳未満の小児」と明記されています。
理由は、コデインが体内でCYP2D6という酵素によってモルヒネに代謝される仕組みにあります。ごく一部の人はこの代謝が異常に速く、モルヒネの血中濃度が想定以上に上昇し、重篤な呼吸抑制につながるリスクがあるためです。海外では、12歳未満の小児で死亡を含む重篤な呼吸抑制が報告されたことから、この改訂に至りました(出典:厚生労働省「コデインリン酸塩水和物又はジヒドロコデインリン酸塩を含む医薬品の『使用上の注意』改訂の周知について」平成29年7月4日薬生安発第704002号)。
対象となる製品は、市販薬で約600種類、医療用医薬品で約65種類と幅広く、子ども用として売られていない一般の風邪薬・咳止めにも成分として含まれている場合があります。子どもに市販薬を選ぶ際は、パッケージの成分表示を必ず確認してください。
4. 眠くなりやすい成分にも注意
抗ヒスタミン成分、特にクロルフェニラミンなどの第一世代抗ヒスタミン成分は、眠気が出やすいという特徴があります。
仕事中や車の運転前に風邪薬を服用する場合は、パッケージの成分表示を確認し、眠気が出やすい成分が含まれていないか事前にチェックすることをおすすめします。
5. こんなときは、自己判断せず受診を
- 高熱が2〜3日以上続く場合
- 症状が悪化する、または5〜7日以上改善しない場合
- 呼吸が苦しい等、重い症状がある場合
- 子ども・高齢者・持病がある人で、自己判断が難しい場合は早めに医療機関に相談する
よくある質問
Q. 症状が1つだけのときも総合感冒薬でいいですか?
A. 総合感冒薬でも問題ありませんが、症状が1つ、2つに絞られている場合は、該当する成分だけが配合された薬を選ぶことで、不要な成分を避けられます。
Q. 何歳から大人と同じ風邪薬を使えますか?
A. 薬によって対象年齢が異なります。特にコデイン類を含む咳止めは12歳未満禁忌のため、子どもに使う場合はパッケージの成分表示・年齢表示を必ず確認してください。
Q. 病院から薬をもらって飲んでます。併用してもいいですか?
A. 前立腺肥大症など特に注意が必要な疾患もあるため、必ずかかりつけの薬剤師や医師に相談してください。
まとめ
- 風邪薬は「とりあえず総合感冒薬」ではなく、症状に合わせて成分を選ぶのが基本
- 子どもの咳止めは、コデイン類の12歳未満禁忌に特に注意し、成分表示を確認する
- 抗ヒスタミン成分は眠くなりやすいため、仕事・運転前は注意する
- 症状が長引く・悪化する場合は、自己判断せず医療機関を受診する
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の治療方針を示すものではありません。体調に不安がある場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。
出典
- PMDA「コデインリン酸塩等の12歳未満の小児における使用の禁忌移行について」(令和元年度第4回安全対策調査会資料) https://www.pmda.go.jp/files/000230395.pdf
- 厚生労働省「コデインリン酸塩水和物又はジヒドロコデインリン酸塩を含む医薬品の『使用上の注意』改訂の周知について」(平成29年07月04日薬生安発第704002号) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc2795&dataType=1&pageNo=1
- 一般社団法人愛知県薬剤師会「かぜ薬の成分と選び方・服用法について」 https://www.apha.jp/faq/entry-33.html
最終更新日: 2026年9月23日

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