お薬手帳を持つメリット|紙と電子、どちらを選ぶべき?【マイナ保険証時代の正しい理解】

「マイナンバーカードで薬の情報が見られるなら、お薬手帳はもういらないのでは?」——そう思ったことはありませんか。

結論からお伝えすると、**マイナ保険証が普及した今も、お薬手帳は引き続き必要です。**理由は、マイナンバーカードで薬の情報を把握できることと、制度上「お薬手帳を持っている」ことはまったく別の扱いだからです。実際に、薬局の窓口ではお薬手帳を提示するかどうかで、支払う料金の区分(点数)が変わります。

紙と電子、どちらを選ぶかは基本的に好みの問題です。選ぶ基準は「自分が続けやすいかどうか」と「電子ならどの薬局でも情報を読み取ってもらえるか」の2点です。

この記事では、公的な資料をもとに、お薬手帳が今も必要な理由と、紙・電子の選び方を整理します。


目次

1. マイナ保険証があれば、お薬手帳はもういらない?

マイナンバーカードを保険証として利用すると、過去に処方された薬の情報を、医師・薬剤師が確認できるようになります。「それなら、わざわざお薬手帳を持たなくてもいいのでは」と考える方もいるかもしれません。

結論から言うと、それは誤解です。理由を次の章から具体的に説明します。


2. 【核心】お薬手帳の有無で、窓口の料金が変わる

マイナ保険証がどれだけ普及しても、お薬手帳(紙・電子問わず)を提示する意味がなくならない、制度上の理由があります。

薬局で処方薬を受け取る際にかかる「服薬管理指導料」は、お薬手帳を提示したかどうかで点数区分が変わります(出典:厚生労働省保険局医療課「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」令和8年7月1日版)。

区分条件点数
服薬管理指導料1原則3か月以内に再度処方箋を持参し、手帳を提示した患者45点
服薬管理指導料21以外の患者(手帳を提示しない場合を含む)59点

ここで重要なのは、**「マイナ保険証で薬の情報を医師・薬剤師が閲覧できる」ことと、「お薬手帳を提示した」ことは、制度上まったく別の扱いだという点です。**マイナンバーカードで薬の情報を把握できたとしても、それ自体が「手帳提示」の要件を自動的に満たすわけではありません。

つまり、マイナ保険証がどれだけ便利になっても、この点数区分の仕組みが変わらない限り、お薬手帳を提示する意味はなくならないのです。


3. もう一つの理由:みんながマイナ保険証を使うわけではない

マイナ保険証の利用率は、2026年4月時点で68.15%と報告されています(出典:厚生労働省発表、社会保障審議会医療保険部会資料)。つまり、依然として3割ほどの受診・来局は、マイナ保険証以外の方法(資格確認書等)で行われているということです。

情報漏えいへの不安や、従来の保険証の使いやすさなどを理由に、マイナ保険証の利用に慎重な人は一定数存在します。一方、お薬手帳には同じように個人の医療情報を扱うにもかかわらず、こうした心理的なハードルはほとんど見られません。

「全員が同じ手段で薬の情報を管理できるわけではない」からこそ、お薬手帳は誰にとっても使いやすい選択肢であり続けています。

特に高齢の方で、マイナンバーカードへの抵抗を示す方が多いです。大方マイナンバーカードの正しい仕組みを理解していない、新しい技術に不安がある等の理由から個人情報流出のおそれを感じているのが個人的な印象です。こういった方を理解させて、利用してもらうのはほぼ無理です。だから、お薬手帳という制度自体が絶対に必要なのです。


4. 市販薬(OTC)はマイナポータルに残らない

マイナ保険証や電子処方箋の仕組みで確認できるのは、医療機関・薬局で処方・調剤された薬の情報に限られます。自分で購入した市販薬(要指導医薬品・一般用医薬品)の情報は、マイナポータルには含まれません(出典:「電子版お薬手帳ガイドラインについて」令和5年3月31日薬生総発0331第1号)。同ガイドラインでは、電子版お薬手帳がマイナポータルで取得できる情報を補完し、市販薬を含めた服薬状況を継続的に把握する役割を担うことが求められています。

セルフメディケーションが進む中、市販薬の記録という点でも、お薬手帳の役割は大きいといえます。


5. 紙と電子、それぞれのメリット・デメリット

  • 紙のメリット: 一目で経過が分かりやすい、自由に書き込める、スマホの不具合に左右されない
  • 紙のデメリット: 持ち忘れる・なくす、複数冊になりがち
  • 電子のメリット: 持ち忘れにくい、家族分をまとめて管理できる、服薬タイミングのアラーム機能があるアプリもある
  • 電子のデメリット: 高齢者には使いこなすハードルがある場合も、スマホの故障・充電切れのリスクがある

6. 電子お薬手帳を選ぶなら、ここをチェック

電子お薬手帳のアプリを選ぶ際は、「便利そう」という機能面だけでなく、相互運用性も基準にすることをおすすめします。

保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)が策定した標準規格のQRコードに対応しているアプリであれば、薬局のレセコン(レセプトコンピュータ)から情報を自動的に取り込めます。また、日本薬剤師会が提供する「電子お薬手帳相互閲覧サービス(e薬Link)」に対応していれば、異なる会社のアプリ同士でもデータを相互に閲覧できます(出典:公益社団法人日本薬剤師会「電子版お薬手帳の現状と課題」)。

JAHIS標準規格やe薬Linkに対応したアプリを選んでおくと、旅行先や急な受診時、いつもと違う薬局でも情報を読み取ってもらいやすくなります。

7. 紙か電子か、迷ったら「併用」もあり

紙か電子か、どちらか一方に絞らなければいけないわけではありません。

電子お薬手帳をメインで使っている方も、スマートフォンの故障・バッテリー切れ・紛失といった不測の事態に備えて、紙のお薬手帳も一冊持っておくと安心です。特に、手帳に記録のない薬を服用している場合や、災害時などでスマホが使えない状況に備え、主要な薬の情報は紙やメモでも控えておくことをおすすめします。


まとめ

  • マイナ保険証が普及した今も、お薬手帳は制度上の役割がマイナ保険証とは別なので引き続き必要
  • お薬手帳の提示有無で、窓口の料金区分(服薬管理指導料45点/59点)が変わる
  • 市販薬(OTC)の情報はマイナポータルに残らないため、お薬手帳での記録が引き続き重要
  • 紙と電子、どちらを選ぶかは好みの問題。電子を選ぶなら相互運用性(JAHIS標準・e薬Link対応)も確認する
  • 迷ったら、どちらか一方に絞らず併用するのもおすすめ

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の制度・治療方針を示すものではありません。ご自身の状況については、かかりつけの薬局・医療機関にご確認ください。


出典

最終更新日: 2026年9月16日(マイナ保険証関連の制度・利用率は変化が速いため、公開前に最新情報の確認を推奨)

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