降圧薬を飲み始めるとき、「一生飲み続けるの?」「なんとなく体がだるい気がするけど大丈夫?」といった不安を感じる方は少なくありません。
結論からお伝えすると、**降圧薬は自己判断で減らしたり中止したりせず、めまいや立ちくらみなどの症状が出たときは自己対応せず主治医・薬剤師に相談することが大切です。**そして、薬による治療と並行して、減塩などの生活習慣の改善に取り組むことも欠かせません。
この記事では、薬剤師として日々患者さんにお伝えしていることを、公的なガイドラインの情報とあわせて整理します。
1. 高血圧の基準と、なぜ薬が必要になるのか
高血圧は、診察室での測定で収縮期血圧140mmHg以上、または拡張期血圧90mmHg以上の場合に診断されます。家庭で測定する場合はより低い基準が用いられ、135/85mmHg以上が高血圧とされています(出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧」)。
さらに、2025年8月に発刊された日本高血圧学会の『高血圧管理・治療ガイドライン2025』では、降圧目標が全年齢で統一され、診察室血圧130/80mmHg未満・家庭血圧125/75mmHg未満とされました(出典:日本高血圧学会『高血圧管理・治療ガイドライン2025』)。この改訂により、これまで75歳以上の方などで別枠になっていた目標値が、より厳格な方向に統一されています。
薬物治療を始めるタイミングは一律ではなく、脳心血管病のリスクの高さによって異なります。リスクが低い〜中等度の方は、まず1ヶ月ほど生活習慣の改善に取り組み、それでも改善しない場合に薬物治療を検討します。一方、リスクが高い方は、生活習慣の改善と並行してすぐに薬物治療を開始します(出典:日本高血圧学会『高血圧管理・治療ガイドライン2025』)。
2. 降圧薬の種類と、効果を実感するまでの期間
降圧薬にはいくつかの種類があり、主なものとして長時間作用型のCa拮抗薬、ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)、ACE阻害薬、サイアザイド系利尿薬、β遮断薬の5種類が位置づけられています(出典:日本高血圧学会『高血圧管理・治療ガイドライン2025』)。
この薬の使い分けは、医師の判断によるものが多いので、必ずこれ、というものでもありません。ただ、私の経験的に圧倒的に最初に目にするのはCa拮抗薬です。アムロジピンというお薬がそれに当たります。もし今飲まれている方がいれば、オーソドックスな薬の一つなんだな、という認識で良いと思います。
こういった降圧薬の服用を始めると、多くの方はすぐにその効果を血圧値から実感します。それは薬剤師から見ても大変喜ばしいことですが、患者さんからあることをよく言われます。
「血圧が140に下がった!今まで160以上だったからこれで安心ね!」
「血圧が下がったからもう飲まなくていいよね?」
患者さんからしてみれば、目にみえる数値の変化はとても印象的なので、「下がったから安心」と思われると思います。効果は大体はすぐ現れると言いましたが、薬が体の外に出てしまったら、効果も切れてしまいます。薬によりけりですが、薬が体に十分に溜まってくるまでは安心できません。もちろん数値も160より140の方がいいですが、冒頭でも述べたように、140以上はまだ高血圧です。1回ポッキリではなく、安定して目標数値以内に血圧値を留めることが大切です。
3. よくある副作用と対応:めまい・立ちくらみ
降圧薬を飲み始めてから、めまいやふらつき、立ちくらみを感じる方がいます。これは、血圧が下がったことで脳へ送られる血液の量が一時的に不足することで起こる反応です。
ここで大切なのは、症状を感じても自己判断で服薬を中止しないことです。急に薬をやめると血圧が急上昇し、かえって脳卒中などのリスクを高めるおそれがあります。体調の変化を感じたときは、必ず主治医や薬剤師に相談し、薬の種類や量を調整してもらうようにしましょう。
ふらつきや立ちくらみが繰り返し起こる場合や、血圧が90〜100mmHg程度まで下がって心配なときは、自己対応せずかかりつけ医に相談することが勧められます。特に夏場は、気温の上昇により血圧が下がりやすい季節になるため、よりふらつきや立ちくらみを感じやすくなります。異変を感じたらしゃがみ込んだり、立ち上がる時はゆっくり、何かに捕まりながらが良いでしょう。
4. 生活習慣の改善も並行して
薬物治療と並行して、生活習慣の改善に取り組むことも重要です。
- 減塩: 高血圧の方は1日6g未満の塩分摂取が目標とされています(出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧」)。麺類の汁を残す、漬物を控える、外食や加工食品を減らすといった工夫が有効です。ただいきなりこれはかなり難しいので、まずは自分にできるところから始めてみることがとても大切です。
- カリウム・カルシウムの摂取: 野菜・果物・大豆製品(カリウム)、牛乳・乳製品(カルシウム)の摂取が血圧の安定化に役立つとされています。ただし、高血圧以外の疾患を持ってる方で、カリウムやカルシウムの摂取に注意が必要な場合があるので、かかりつけ医師やかかりつけ薬剤師に相談しましょう。
- その他: 肥満の改善、運動不足の解消、十分な睡眠、喫煙者は禁煙も、血圧管理の基本として推奨されています。
(出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧」)
5. こんな症状があれば、すぐに相談・受診を
以下のような症状がある場合は、自己判断せず、速やかにかかりつけ医師やかかりつけ薬剤師に相談してください。
- 家庭血圧が90〜100mmHg程度まで下がり、症状を伴う場合
- 立ちくらみ・めまいが繰り返し起こる場合
- 動悸、胸痛、意識が遠のくような感覚がある場合
※使用する薬によって、注意すべき症状は異なるので、気になることがあれば随時相談しましょう。
よくある質問
Q. 降圧薬は一生飲み続けないといけませんか?
A. 生活習慣の改善によって血圧が安定し、医師の判断で減量・中止できるケースもあります。ただし自己判断でのコントロールは危険なため、必ずかかりつけ医師に相談してください。
まとめ
- 降圧薬は自己判断で中止・減量しない
- めまいや立ちくらみを感じたら、自己対応せず主治医・薬剤師に相談する
- 減塩をはじめとした生活習慣の改善は、薬物治療と両輪で取り組む
出典
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/metabolic/m-05-003.html
- 日本高血圧学会『高血圧管理・治療ガイドライン2025』 https://www.jpnsh.jp/guideline.html
最終更新日: 2026年8月23日

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