「糖尿病の薬」とひとくくりに言っても、実は作用の仕組みが異なる複数の種類があり、飲み忘れたときの対応も薬によって違います。
結論からお伝えすると、共通して大切なのは「2回分をまとめて飲まないこと」。低血糖を起こす危険性があるためです。そのうえで、まずは自分が飲んでいる薬がどの種類かを確認しましょう。
1. 糖尿病の飲み薬は6種類、対応もそれぞれ違う
糖尿病の飲み薬(経口血糖降下薬)は、作用の仕組みによって大きく6つのグループに分けられます。
- スルホニル尿素薬(SU薬)
- 速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)
- ビグアナイド薬(BG薬)
- α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)
- インスリン抵抗性改善薬(チアゾリジン薬)
- DPP-4阻害薬
「同じ糖尿病の薬だから対応も同じ」と思われがちですが、実際は服用のタイミングも、飲み忘れたときの対応も、薬によって異なります。まずは自分が飲んでいる薬がどのグループに当たるか、お薬手帳や薬袋で確認してみましょう。
2. 【早見表】薬の種類別・飲み忘れたときの対応
霧島市立医師会医療センターの薬剤部が発行する資料をもとに、代表的な対応をまとめました。
| 薬の種類 | 代表的な一般名 | 服用タイミング | 飲み忘れたときの基本対応 |
|---|---|---|---|
| スルホニル尿素薬(SU薬) | グリクラジド、グリベンクラミド、グリメピリド | 1日1〜2回、食前 or 食後 | 指示時間に飲み忘れたら1回とばして次の指示時間に1回分。食前分は食後でも服用可(食後1時間以内なら可とする文献もあり) |
| グリニド薬 | ナテグリニド | 1日3回、食直前10分以内 | 指示時間に飲み忘れたら1回とばして次の指示時間に1回分(食後の服用は効果が弱まるため不可) |
| ビグアナイド薬(BG薬) | メトホルミン塩酸塩 | 1日3回、食後 | 指示時間に飲み忘れたら1回とばして次の指示時間に1回分(食後1時間以内なら服用可) |
| α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI) | アカルボース、ボグリボース | 1日3回、食直前 | 食事の直前に飲み忘れたら食事中に1回分服用。食後かなり時間が経っていれば1回とばして次の時間に1回分 |
| チアゾリジン薬 | ピオグリタゾン塩酸塩 | 1日1回、食前 or 食後 | 昼までに気づけば1回分をすぐ服用。昼過ぎに気づいたら1回とばして次の時間に1回分 |
| DPP-4阻害薬 | シタグリプチンリン酸塩水和物 | 1日1回 | 気づいたときにできるだけ早く1回分服用。次の服用時間が近ければとばして次の日に1日分 |
(出典:霧島市立医師会医療センター 薬剤部DIニュース No.142)
特に注目してほしいのがα-GIです。**食後に気づいた場合は「その回は飲まない」**という、他の薬とは逆の対応になります。これはα-GIが糖質の吸収を遅らせる薬で、食後に飲んでも効果が十分に発揮されないためです(出典:公益社団法人福岡県薬剤師会)。
3. 低血糖に注意が必要な薬・そうでない薬
糖尿病の薬は、共通して低血糖に注意が必要です。
ビグアナイド薬やα-GI、DPP-4阻害薬などは単剤だと低血糖のリスクは低いのですが、複数の糖尿病薬を併用している場合は、低血糖のリスクが高まります。
低血糖の症状には、次のようなものがあります。
- 冷や汗
- 動悸
- 手の震え
- 強い空腹感
- 意識がもうろうとする(重度の場合)
こうした症状が出た場合は、糖分を摂取したうえで、速やかに医療機関に相談してください。
4. こんなときは自己判断せず相談を
- 2回分をまとめて服用してしまった場合
- 低血糖症状が出た場合(糖分摂取のうえ、速やかに医療機関へ)
- 新しいタイプの薬(SGLT2阻害薬等、本記事で扱っていない薬)を使っている場合
飲み忘れそのものを防ぐ工夫については、薬を飲み忘れたときの基本ルールもあわせてご覧ください。
よくある質問
Q. 自分の薬がどの種類か分かりません。どうすればいいですか?
A. お薬手帳や薬の説明書(薬袋に貼られた紙)に薬効分類が記載されていることが多いです。分からない場合は、薬局で薬剤師に確認してください。
Q. 飲み忘れが多くて心配です。どうすればいいですか?
A. 飲み忘れが頻繁に続く場合は、服薬のタイミングや薬の種類を見直せることもあります。自己判断で減らしたりせず、まずは主治医・薬剤師に相談してください。
Q. 食直前の飲み薬を忘れてしまいます。どうすればいいですか?
A. 飲み忘れを防止する工夫として、ご飯と一緒に薬を準備することです。いつも食事をとるテーブルに薬を置いておき、視界に入るようにすると良いです。
まとめ
- 糖尿病の飲み薬は種類によって飲み忘れ時の対応が異なる。まず自分の薬を確認する
- 2回分をまとめて飲まない
- 低血糖のリスクがある薬(SU薬・グリニド薬・チアゾリジン薬)は特に注意する
- 新しいタイプの薬を使っている場合は、必ず薬剤師・医師に確認する
出典
- 霧島市立医師会医療センター 薬剤部DIニュース No.142(平成23年1月) https://kirishima-mc.jp/data/wp-content/uploads/2023/04/f5960c07f4facf0a27fa132296b070d5.pdf
- 公益社団法人福岡県薬剤師会「ボグリボースを食直前に飲み忘れた場合、食後に飲んでも良いか?」 https://www.fpa.or.jp/johocenter/yakuji-main/_1635.html?blockId=39793&dbMode=article
最終更新日: 2026年8月25日

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